February 05, 2013
アピシウスで送別ランチ(1)個室にて4次元料理
Fevrier
1月26日は谷本氏がアピシウスに出勤する最終日。事前予約を入れた際にはすでにメインダイニングテーブルは満席になっていたので個室(サロン・パール)を確保していただいた。スタッフの説明によると、この日の客の90%が谷本氏最終勤務日に集まった常連フアン客だという。彼の自然なる細やかな気配りと丁寧なサービス、そして食事をより楽しく美味しく感じさせてくれる柔和で適度な会話をしていただきながらも接客者としての礼儀は超えない等々、彼が長年テーブルサイドで接してくれた人柄から湧き出ているプロ流サービスを考えると、定年とはいえ早すぎて惜しいと感じているフアンが集まっても当たり前の事なのだと思う。予約を入れられただけでも幸運だった。
訪問すると、週変わりのランチコース内容はフランス語の通りすでに2月メニューになっていた。
アミューズ
Amuse
この小さな料理からして繊細でバランスの良い美味しさに仕上がっている。次から始る各料理に期待を高めてくれる。少量ながらも自らの美味しさで続く料理のハードルを上げている大胆なアミューズ。
蝦夷鹿肉のコンフィ、オニオングラタンスープ仕立て
Venison confit, onion gratin soup style
私の好きなオニオングラタンスープ。スプーンですくったその一口芽で感激!重要なるベースのフォン・ブランスープには、コラーゲンがよく溶け込んでいて旨みは上品で実に味わい深い。使われている食材とのコンビネーションは勿論、しばらくぶりに美味しいオニオングラタンスープをいただいた。
冬の魚介類のフリチュール
Deep fried seasonal seafood
ここはニースか?美味しい香りで食べる前からワクワクドキドキさせてくれる。魚介類が絶妙な具合で調理されている。スープソースと一緒にいただくと、口の中に輝くアジュールの海が広がる。
真鱈のロティ 胡椒風味
Roasted codfish, pepper taste
淡白な真鱈を濃厚なソースでいただくのだけれど、身の焼き加減が美味しい。皮は香ばしくパリパリだけれど身はホッコリ。画像の向こう側に隠れていたタラの白子はスモーク干ししてから少し火を入れたような、これまでいただいてきた白子料理とは別格の味だった。小料理屋でこれをつまみに日本酒をいただきたい気分にもなる。
ブルターニュ産鶉のクラポディーヌ風パネ フォアグラ添え
Pan-fried quail, stuffing in potato puree, with terrine of foie gras
ナイフを入れるとサプライズが待っていた。美味しさの断面と、それを一皿に閉じた世界で融合させたシェフの食材と技とセンスのマリアージュ。資格と香りと味を楽しむ時間軸を乗じると、これらの料理は4次元で堪能できる。
各料理を堪能し、そうしてデザート前にようやくメインダイニングに余裕が出来たとのお知らせ。ひとつの空間に常連客が集まってくれると目配りし易い上に会話もし易いだろうし、私達もフロアスタッフを呼び易く気持ちはさらに楽になる。
...(続く)