July 11, 2008

東芝フルハイビジョンムービーカメラ gigashot A40F

招かれたのは東芝本社ビル39階会議室。

技術開発担当Y氏による商品説明商品開発担当でもある解説者Y氏とスクリーンに一番近いと思われる席、VISITOR席のほぼ中央に着席した。今回のプレゼン内容と配布された資料を参考に、私が個人的にこの商品について感じた所見を述べてみたいと思う。




【gigashot A40F とは】

今回のプレゼン商品はハードディスクカメラ「gigashot A40F」。gigashotブランドの中でも最高画質で記録するAシリーズは、フルハイビジョン映像や静止画JPEG(ともに1920x1080)をハードディスクに記録する方式。

プレゼンを通しての印象は、メカに弱い人にも「オートボタン(録画に必要なボタンだけが光り、それ以外はロックされる機能)」による簡単な操作で、フルハイビジョン映像を記録できるビデオカメラとの印象を受けた。誤操作防止やデータ保護機能はよく出来ていると思う。取り扱いやすさのイメージを伝えるために、商品イメージにリカちゃんのブランドメッセージと重ね合わせ、カタログの説明もマンガ風に読みやすく工夫を凝らしている。担当者の話では20・30代のリカちゃん世代をターゲットにした結果との説明だった。また取扱説明書のページ数が160ページと、携帯電話に比べるとはるかに少なく読みやすい。ちなみに私が使用しているDoCoMoの取扱説明書は486ページ、SoftBankは388ページ。

カメラマニアとしては、放送業界のカメラにも採用されているフジノンレンズを使用し、しかも業界最広角35.9mmレンズに心をくすぐられる。

【リカちゃんブランドと購買ターゲット】

しかしリカちゃんブランドは購買層のターゲットを狭めていないのだろうか。リカちゃん好きのママのフィルターを通らないと、このカタログに手は伸びない。どうもママ中心に考え過ぎに個人的には感じてしまう。メカ好きのパパにはちょっとひいてしまうカタログ。しかも購買層として重要な位置にあると考えられる、孫を撮りたくてもメカには弱く指先操作がもどかしいおばあちゃん・おじいちゃん世代がターゲットの外に置かれてしまっている。リカちゃんではなく普通に赤ちゃんやペットを中心に企画イメージをふくらませてくれたほうが良かったのではないのだろうか。ちなみに取扱説明書にリカちゃんは1コマも登場せず、ほとんどはペット犬の写真と数枚の風景写真と子供の写真のみ。総合的に商品企画としてイメージが絞り込めていない印象を受けた。

【プレゼン会場での質疑応答】

私からの質問と開発担当者による答えは下記のとおり。

Q1. 加速度検出による落下防止機能が、被写体を追随する急激なカメラワークで撮影者の意図に反して強制終了されてしまわないか?
A1.急激な動作は落下と判断してしまう事がある。撮影時に激しい加速の影響が考えられる場合には、HDD耐衝撃機能をオフにする事で回避が出来る。

Q2. 開発担当Y氏の上司が望んだステージモード機能をのせた事で加えられず残念に思った機能は?
A2.ステージモードを搭載した事で加えられなかったという機能はないが、技術者としてはより多くの機能を搭載したかった。例えば、
 - 光学レンズ式の手振れ補正機能。gigashotに搭載しているのは電子式「シェイクエスティメイター(TM)」機能。
 - 音源記録を5.1チャンネル対応にしたかったが、A40Fは2chステレオ。

Q3. ハードディスク容量40ギガを購入後に、有償で100ギガタイプに変更は可能か?
A3. 40Gと100GのHDDでは厚みが違う事もあり対応不可能。


【上級者の視点でカタログと取扱説明書から読み取る重要項目】

商品自体は初心者にも扱いやすくマニアにも使い込めそうな機能をコンパクトに収めてくれた製品と思うが、プレゼン会場では語られずに配布された総合カタログ(2007年11月版)と商品に梱包されている取扱説明書の細かな説明や注意書きから知り得た重要と思える内容を次に述べたいと思う。

1.カメラのハードディスクからパソコンに保存した画像をDVDにダビングする場合は、フルハイビジョンの画質ではなくスタンダード画質になってしまう。HD DVDにはフルハイビジョンでダビングが可能だが、このDVD規格はブルーレイとの規格戦争に敗れ東芝はすでに撤退している。

2.ファイルフォーマットは「MPEG-4 AVC/H.264」なので、交換性のないAVCHD規格の再生に対応したプレーヤー、解りやすいところではブルーレイディスク(BD)では再生ができない。

3.外付けハードディスクにダビングする場合は、ひとつのファイルサイズが最大4GBとなるため、FAT32ではなくNTFSでの初期フォーマットをしておく必要がある。

4.ハードディスクカメラとして強調されているが、SDカードスロットもあり、最大8GBのSDHC/SDカードが使用できる。ただしカードに直接記録できるのは静止画のみで、動画は一度ハードディスクに記録されたファイルをSDカードにコピーすることは出来る。

5.PictBridgeに対応したプリンターで、パソコンを使わずにカメラから直接プリントが可能。

6.HDMI端子があれば他社のテレビにも接続可能ではあるが、HDMIバージョンの確認が重要。

ビデオカメラ記録メディア別構成比7.プレゼン資料ではメディア(記録媒体)は「これからますますHD」とあるが、その数値を見る限りハードディスクの増加率はすでに鈍り始め、メモリータイプが急増している。東芝が2008年5月8日に発表した中期経営計画の核として原子力事業と並んでフラッシュメモリー事業にも注力してゆく姿勢を考えると、新機種はやがてメモリータイプになってゆくのかもしれない。

【新機種へのさらなる期待】

上述したすべてを考慮に入れると、次回の上位機種は「SONY HDR-CX12」に近い製品になるのだろうか。SDメモリーカード記録方式、光学レンズ式の手振れ補正機能、フルハイビジョンでのDVDへのダビング、本体重量400g前半、が課題と思われる。次の機種もA40F以上に使いやすくて高機能のフルハイビジョンムービーカメラ、そして簡潔なる取扱説明書で3世代にわたっても使用しやすいタイプを企画していただきたいと強く願っている。





gigashot Aシリーズを理解するための参照リンク集



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TOSHIBA フルハイビジョンビデオカメラ gigashot (ギガショット) GSC-A40F (HDD40GB)



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